2023年4月、久しぶりの八重山旅行。

今回の旅では妻のリクエストがあり、西表島マヤグスクの滝を見に行くことにした。

今までに幾度となくこの島には来ているが、絵になる風景を探して海岸線を行ったり来たりのことが多く、ただ純粋に遊ぶということがあまりなかった。そこへ妻から、せっかく久しぶりに西表に行くんだから是非マヤグスクの滝まで行ってみたい、とリクエストが来た。

西表島は海岸線からすぐ緑に覆われている。二つの大きな川があるが川岸はマングローブに守られ、山の緑も隙間なくどこまでも深い。まるで島全体が巨大な御嶽のようだ。マヤグスクの滝があるのは二つの川のうち島の北側にある沖縄最大の川、浦内川の上流部、有名なマリウドの滝、カンピレーの滝を通り越してさらに奥に分け入って行ったところ。以前から山を知る人には知られた滝のようだが、特に決まった名前はついていなかったらしい。秘境の滝ということで名を決める際、マヤは山猫、グスクは城、から名前をマヤグスクにしたという。名前の響きとはなんとも不思議なもので、苦労してもたどり着きたい神々しいイメージがある。屋久島の縄文杉と同じような名前の印象だ。

還暦を過ぎた我々は当然ツアーガイドを頼むことにした。それ以前に無許可で入山してはいけないルールになっている。ツアースケジュールでは浦内川をカヤックで1時間30分かけて遊覧船終着地点まで行き、そこから約3時間のトレッキングでマヤグスクの滝に到着、滝の上で昼食の八重山そばを食べて休憩、引き返す。朝6時30分出発、帰りは夕方5時頃到着の 豪勢なメニューである!そしてかかる費用も豪勢である。

ツアーの前日、ガイドから風が強い予報が出ているので体力を消耗するカヤックはやめて、その行程を遊覧船に変更する方法もありますと連絡が来た。僕はボートは漕ぎ慣れているのでカヤックくらい大丈夫だろうと考えていたが、ガイドが暗にそう促すということは従った方が無難かなと思い、楽しみにしていたカヤックは諦めることにした。

ツアー当日、遊覧船に変更したので出発は浦内川遊覧船乗り場9時と、だいぶ遅くなった。ツアー参加メンバーは、僕と妻、東京から来た沖縄好きダイビング好きで職業がアイドル系振付師の女性の計3名、そしてガイドは、ショップから来たKすけさん。僕らは自分で飲む水と行動食だけの荷物だがガイドのKすけさんのザックはかなりの量である。

入山許可書などを書いて船に乗り込む。遊覧船終着点まで20分ほどの浦内川観光、朝イチの便もあってか、お客さんはまばら。

 

浦内川の風景

画像では感じないがガイドの進言通り向かい風が強く、浦内川をカヤックで漕ぎ切るにはかなりの体力が必要な気がした。もし次回行くことがあれば、その時のためにカヤックは取っておこう。

遊覧船終着点の軍艦岩到着が9時20分頃。いよいよトレッキングが始まる。

ここで汽水域は終わってマングローブともお別れ、川沿いを歩いてマリウドの滝、カンピレーの滝を通過する。

ガイドのKすけさんは、草履で歩く。それもスタスタと早い!この調子でずっと行くのかと思うほど早足で森の中を進んで行く。遅れないようについて行きしばらくしてから、ずっとこんな調子で歩くのか尋ねたら、歩きやすいうちに時間を稼ぐのと、僕らがどの程度ついてこられるかを試しているというのである。というのは、遊覧船で来た場合、最後の船が出るのが午後4時、遅れた場合は船をチャーターしなくてはならないのだ。途中の判断で滝まで行ってこられそうもない場合は引き返すこともあり得るそうだ。

そう言われたら頑張るしかない!

Kすけさんは、スタスタと先を急ぐが僕は景色も見たい、いろんなものが見たい!その時、苔の生えた岩の上にどうみても猫のうんこと思われるものを発見!もしやこれはイリオモテヤマネコの?と思い少し先を歩くKすけさんに尋ねてみた。Kすけさんもそれには反応してくれて戻って確認する。あ、これはそうだな、ヤマネコのだと言って、木の枝で糞をほぐしてくれた。中からはカニの爪のような未消化物が出てきた。キョロキョロしながら歩いた甲斐があった。

 

イリオモテヤマネコの糞とKすけさんの足。

それからもどんどん歩く。湿った森の中では常に足元をヒルが狙っている。時々、少し出ている足首を見ると何匹かが張り付いている。まあ痛くもないので気がついたら取るだけだ。けれど女の人は意外とギャアギャアと声を出す。

森の中の様子。

そして開けた河原もある。

河原にあった食べられた鳥の死骸。鳥を食べるのは西表では猛禽かイリオモテヤマネコか。食べられた鳥の種類までは分からなかった。

 

Kすけさんのガイドのおかげで順調にマヤグスクの滝に近づいて行く。何度か休憩をしながらも思ったより早いペースで滝までもう少し。

大きな滝はまず音が聞こえてくる。木々に遮られていても、もうすぐそこにあるとわかる。最後の苔で滑りやすい岩の塀を登ると、マヤグスクの滝が目の前いっぱいに広がる!12時頃の到着で、滝の上に登りKすけさんが美味しい美味しい八重山そばを作ってくれた!!例えて言うなら、森の中にある水の劇場!!

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